伝説の男・保育士の小林大介3
だいすけさんとは2か月に1度程度、彼の都合にあわせて一緒に食事をしてもらった。
連れて行ってくれる店は全てが・・・『印象的な店』ばかり。
隠れ家的な店から、コストパフォーマンスに優れた小汚いけれど居心地のよい店。自分が周りに紹介したい店ばかりだ。
(彼は普通に店員さんと友達感覚だった。何も言わなくても”ネギ抜き”というのには驚いた。)
『これも自分を喜ばす為ですか??人の気持ちを引く極意ですか??』
と聞くと
『いや俺が食べたいから。安くて美味いものが好きだから。笑』
とにかく彼はマイペースで、とにかく人生を楽しんでいる。
しかし彼の保育に関する引き出しは半端ない。
どんな質問に対しても迷うことなく答えてくる。
・保育園名を言えば、会社名と採用担当者とその特徴が。
・地域をあげればその地域の保育園と保護者が求める保育の特色が。
・株式と社福の違い。認可と認証の違いなど、これを相手のレベルにあわせて適切な回答で教えてくれる。
あまり具体的なことは言えないが・・・1枚の紙切れ(このシートだけで会話が出来てしまうこと自体が凄い)と駅から面談場所までの移動時間で彼はその日の会話の方針をほぼ決めてしまうことが出来る。それは限られた時間でいかに信頼関係を築くかを『経験』という武器をもとに進めることが出来る。
これがきっと、年間200名以上の保育士、保育学生さんと会話をしていたという、他者には真似のできない財産なのだろう。
だいすけさん曰く、わからないことがあれば、先輩保育士や親しい理事長や園長に連絡をし、お願いをしてすぐ教えてもらうとのこと。
そして今まで出会った保育士さん、保育学生さんからも色々なことを学び、その経験が自分の回答に役立っている。
全ては『人』との繋がりで、それを自分は代弁しているだけらしい。
普段の会話は壁を作らず、マイペースな自然体で”本音”でぶつかってくる。
しかし保育の話題になると誰よりも熱く、真剣に語り始める。
そして一番凄いのが・・・『保育士さんにメリットがないと感じたら転職を辞めさせることだ。』
【彼は人材業界のある意味”時間の無駄遣い”ばかりをしている保育士】だ。
人材業界においては結果が全てだから、本来はどんな形でも転職に結び付けなければならない。
しかし、彼は『結果よりも目の前の保育士さんを第一に考えている』のだ。
そしてその考えは保育事業者にも同じで、保育士さんが望んでいても、保育事業者側が望んでいる人材でなければ、絶対に面接へ連れて行かない。
面接だって事前に1社に絞った方が結果も出るし、効率もよいのに、彼は絶対に複数の面接を同じ日に入れてちゃんと保育士に選ばせる。
しかもその状況を事前に保育事業者側にも伝えていて、相手側も納得している。
(小林大介さん曰く、事前に見学や、保育士側の要望、状況を受け入れてもらえないような保育園はその時点で求職者の意向にあっていないのだから、求職者にその状況も伝えた上で面接を受けるか判断してもらうらしい。)
彼と1年一緒に過ごしてわかったのは、浅野さんと同じで『この仕事を楽しんでいる』ということ。
★転職先を紹介出来なかったら、その分、他の保育士さんを納得のいく職場に連れていってあげればいい。売り上げなんて、1年通してノルマを達成できればそれでいい。
(確かに結果は残しているし、それが他者より数字が出ていれば誰も文句は言えない)
★無理にあわない職場ですぐ退職したら、誰も喜ばないし・・・何より子どもが一番かわいそう。
(やはり彼は”保育士”小林大介なのだ)
★場合によっては、自ら担当を変えたりすることもある。
(相性や保育の価値観を含めて自分じゃない方がよい結果が出ると感じるらしく、ここも保育士目線)
改めてまとめると彼は”人材業界において真逆のことばかりをしている異端児”なのだ。
でもこの保育業界においてこの異端児はとても有効であり、彼にしかこのやり方は出来ない。
それはこの保育という業界においては求人条件以上に『心』というものがとても強く反映されており、彼は保育士の気持ちがわかるからだ。
部長や浅野さんとは全く違う、自由人かもしれないが・・・こういう本気で仕事を楽しむコンサルタントがいるというのは、自分にとって、とてもよい勉強になったのである。
※保育士としての小林大介。一体どのような保育をするのだろう。。。