伝説の男・人材の浅野拓真①
★浅野拓真
誰もが知る大手人材会社のお偉いさん。
自分が転職した会社よりも大手。
主にハイクラス求人をメインに担当し、ヘッドハンティング事業を得意とし、大手企業とのコネクションにおいては、人材業界TOPクラス。
年収や売上実績は明かされていないが、単純計算でその功績はまさに人材業界におけるエリート中のエリート。
部長からは『1秒たりとも無駄にするな。盗めるものはとにかく盗んでこい』だった。
待ち合わせ場所は・・・
相手側の本社より徒歩5分の某有名ホテルの喫茶店。
(プライベートでこんな所に来たことない。)
部長から渡された1枚の立派な白い封筒と、菓子折りを持って、約束の10分前に待ち合わせ場所に着くと、既に高級感あるスーツに時計を身にまとった男が、自分を待っていた。
・・・緊張した。
なんというか、、、遠くから見ても『彼だ』というのがハッキリわかるオーラみたいなものがあるのだ。
そして、恥ずかしいことに、緊張して挨拶を噛んでしまった。
彼と話をさせてもらった時間は予定ぴったりの1時間。
・・・本当にぴったり1時間だった。
おそらくこの時間配分は彼の計画的な進め方だったのだろう。
正直、恐ろしくこの時間が長く感じた。
それは嫌な時間ではなく、重厚というか大変濃密な時間だった。
浅野さんから教わったことは『出来る男のセルフマネジメント』だった。
・言葉の強弱、高低の使い分け。
・相手に対する視線と自身の姿勢。
・常に3手、4手を見据えた会話。
・言葉の単語一つ一つに意味を持たせる。
・相手との物理的な間合いと会話の間合い。
・時間の使い方(上限を決めているものの絶対に焦らず短縮もしない)
とにかく相手に信頼させる為にはどうしたらよいのか。
『第一印象』『見た目』『会話』『余裕』
全てが『ビジネスマン』だった。
同じ人材業界におけるコンサルタントとして、一緒に区分けされることがとても恥ずかしく感じた。
つまり、自分は結果が出ないことで悩んでいたが・・・そもそもとして一般事業部に居ても、全くの努力不足であったのだ。
そして、目先の結果ばかり見ていたが、もっと上を目指すにはその先を見据えた視線とビジネスマンとしての基本的姿勢が足りなかったのだ。
それは保育士さんたちに言われた発言にもつながっており、相手に信頼されるだけの価値が自分にはなかったのだ。
どんな形であれ、この業界は結果が全て。
その結果に繋げるだけの努力と準備がまだまだ足りなかった。
たった1時間でそれだけ多くのことを学ばせてもらえるだけでも彼の偉大さがよくわかる。
『1秒たりとも無駄にするな。盗めるものはとにかく盗んでこい』
部長の言葉・・・そしてこの機会をもらえた会社に対して自分はこれから気持ちを入れ替えてもっと頑張っていこうと心機一転、また歩み始めたのだった。