伝説の男・保育士の小林大介1
★小林大介(こばやしだいすけ)
まだ保育士不足が表面化しておらず、保育士の求人会社が2つしかない時代に、人材業界にて活躍。
(すでにその頃からこの状況を見込んでいて、先見の明があったのか??)
もともとはどこにでもいる一般の保育士であったが、その時代に書き上げていたブログが保育士・保育学生の共感を呼び、その後、延べ100名以上が参加する若手を中心とした保育士のサークルを立ち上げ、注目を浴びる。
(SNS上ではなく直接交流を図るリアルイベントとして開催)
独自の人脈を駆使して今では主流となっている保育士専門の就職フェアの先駆けを含む、様々な保育関連イベントの主催、、、
そして保育士・保育学生が3,000人も集う保育士MIXIを開設。
年間で200名近くの保育士、保育学生さんとの面談や相談を行いつつ、全国の保育士養成校を訪問し保育業界における特徴や就業の地域格差を文章化。
人材紹介としては競合するようになった保育人材会社乱立戦国時代に単独で3か月・1600万円以上の売上を計上。
(うちの事業部では1人のノルマが”年間”で1300万円)
(当時は紹介料が20%。保育士の年収も今ほど高くなかったのでだったので、おそらく3か月で22~24人程度を紹介していたことになる。)
事業者の信頼も厚く、上述の人脈の広さも加わり、他社では取り扱っていない求人を独占的に抱えていることが強みで・・・
一番の特徴は彼が紹介する保育士は離職率が低いということ。
保育事業者だけでなく、東京だけでなく地方の保育士養成校とのつながりも深かった保育人材業界の中心を歩んでいたが、ある日いきなり人材業界から姿を消したらしい。
(後日、本人から『そんな立派な人間じゃない』とかなりの訂正をされたが、、、)
ネットに回っている情報と先輩たちからの情報をまとめると、やっぱり大物であることに間違いないと感じて、かなり緊張をしていたが・・・この緊張は意外な形で一瞬に解かれてしまう。
待ち合わせ場所は・・・
え??駅からかなり離れた喫茶店。
(確かに落ち着いた雰囲気だけれどなぜココ!?)
時間になったが・・・現れない。
(少し到着が遅れますので何か食べていてください。それとチョコレートパフェを頼んでおいてくださいとのメールが5分前に届く)
そして・・・扉が開き、自分の目の前に現れたのは、黒めのGパンに白いパーカーを着て、綺麗な顔をした高校生のような若者だった。
(実際は30代で自分より年上。この見た目も彼の武器であることが後でわかるのだが。。。)
・・・どうしていいかわからなかった。
相手から『遅れてすみません』と丁重に頭を下げられ、慌てて自分も頭を下げた後に視線があうと、恐ろしく綺麗でまっすぐな眼で自分を見つめられる。
浅野さんとは全くタイプが違うが、この時から自分は完全にこの人にペースを握られてしまう。
とりあえず挨拶を済ませ『なぜこの場所を選んだんですか??』と質問すると・・・
『職場がここから近くて、ここのチョコレートパフェとポップコーンが好きだから、笑』
これには思わず拍子抜け。
(実はこれも後で深い理由があったのだが、、、半分はこの理由で正解。)
そして・・・チョコレートパフェが届くと、、、あまりの大きさとかわいいインパクトにビックリ!!
そしてそれを普通に美味そうに食べていく男。というか本当に美味そうに食べている。。。
その会話の中で『ここのお店、保育園の若手をたまに連れて来るんだけれど、気に入ってくれる子が多いんだよね。見た目も味も美味しいけれど、自分が知らないお店ってやっぱりワクワクするよね!』
少しずつだがわかってきた。彼は保育士なんだ。そして彼の行動がまさに保育士の行動なんだ。そして彼は人心掌握術に長けているのだ。
と分析し、納得しかけた自分はこの後に、また拍子抜けをさせられる。
部長から渡された手土産の中身は、自分が開けるように言われていたのが、中身はなんと・・・
『スーパーで売っている冷凍のベーコンポテト巻きが3パック』
『季節外れのひなあられ』
・・・嘘だろ。
浅野さんの時は誰もが知っている有名メーカーの高級菓子ときっと封筒の中身は謝礼だった。
小林さんへの手土産は、冷凍の総菜とひなあられ!??
自分の頭は真っ白だった。
自分の反応とはよそに、、、彼は目の前で大爆笑した。
その笑顔は演技でもなく、本気の大爆笑だった。
そして彼は・・嬉しそうに笑みを浮かべながら『彼の気持ちを受け取りました』と言って、そこから流暢に話始めた。
なんというか、、、全く凄い人に見えない!!
凄い人のオーラが全くない!!
どうみてもただの綺麗な顔した甘いもの好きの兄ちゃんだ。
時計をみると既に30分が過ぎていた。
しかし、、、この後、この全ての出来事が意味のある行動であり、彼が”真似できない”と呼ばれる真の姿を見せてくれることになる。
浅野さんからだいすけさんへ★
浅野さんとの出会いから1か月が経過した自分は、前述のように初めて保育士さんの転職に成功し、少しずつ自信をつけていた。
しかし、以前よりも結果は上がってきたものの、保育士を専門とした人材会社と比べると成果はまだまだ比べ物にならず、何よりまだまだ自分は『仕事を楽しむ』という部分が足りていないというのは実感していた。
そして部長から呼び出しがあった。
・・・褒められるのか。
・・・それともまだまだ甘いといわれるのか。
・・・浅野さんから何か言われてしまったのか。
答えは『全部違った』。
部長からの言葉は・・・『今日の20時にこれを持って会いに行ってこい』
だった。
そう。部長が言っていた『2人目』の面会。
だが、、、あまりに急だった。だっていきなり『今日』ってそんなに相手は忙しい人なのか??
そして今回部長からの説明はほとんどなく・・・
2つの手土産を渡されただけ。そのうち1つは冷蔵物。。。
その人物については部長ではなく先輩から説明されたのだが、先輩からは
『保育業界において間違いなく名前は有名だが、謎の人物。噂ばかりが一人歩きしているけれど俺も逢ってみたい。』
『浅野さんのような大物で忙しい人なんですか??』
と聞いたら『謎すぎてわからないけど、”大物”という表現は違うと思う。噂では保育士に戻ったらしいけど、それも本当かどうかわからない。けれど彼は間違いなくこの業界の有名人』と、マネージャーが教えてくれた。
そして待ち合わせ前に部長から電話が・・・
『彼はある意味”天才”だからお前に彼の真似は出来ない』
『あぁいう人種が居て、あぁいう人種がこの保育の人材業界で成功したという実績を知ってみると面白い』
『あいつが今、何をしていて、それが楽しいかどうか聞いておいて』
『気に入ってもらえると面白いんだけどな』
なんだか浅野さんと違って肩透かしをくらった印象だが、、、あえてこのタイミングまで面会を伸ばしていたらしいのだから、きっと何か凄いことが起きるのではないかと、自分は浅野さんの時のような緊張感が走っていた。